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福岡県のご先祖調べ
律令制における筑前国・筑後国の全域と、豊前国の一部に相当します。
中国大陸や朝鮮半島に近いという地理的条件もあり、先進的な文化・技術が入り、活発な交易は多くの富を生み出しました。
そのため諸勢力が富を狙い、侵略と争奪の歴史でもありました。
■戦国期以前の福岡県
南北朝時代の筑前国は、南朝方の少弐氏や菊池氏が守護職についたが、今川了俊が九州探題となると南朝勢力は衰退し、今川氏解任の後は再び少弐氏が守護職となります。
南隣の筑後国も南朝勢力に支配されましたが、九州探題今川了俊により南朝方は衰退、その後は豊後の豪族大友氏が代々守護職に就任します。
福岡県東部をしめる豊前国では今川了俊の後、周防・長門の豪族大内氏が代々守護職に就任します。
そして応永2年(1395)九州探題今川了俊が解任され、戦国期を迎えると福岡県は大きく3つの勢力に分けられます。
主な勢力としては、筑前国には宗像大社の大宮司家である宗像氏(白山城)、糟屋郡の立花氏(立花城)、
筑前国守護の少弐氏、御笠郡の高橋氏(宝満城)・三池氏(三池山城)、怡土郡の原田氏(高祖山城)、夜須郡の秋月氏(古所山城)があります。
筑後国は豊後大友氏の支配力が強く、その幕下で国人領主が連合体をつくっていました。
それらの諸豪を「大身十五家」あるいは「筑後十五城」といいます。
筑後諸豪の旗頭である蒲池氏(柳川城)、山本郡の草野氏(発心城)、下妻郡の溝口氏(溝口城)、三池郡の三池氏(今山城)、上妻郡の五条氏(高屋城)・河崎氏(犬尾城)・黒木氏(猫尾城)、
山門郡の田尻氏(鷹尾城)、三瀦郡の西牟田氏(西牟田城)、御原郡の三原氏(本郷城)・高橋氏、御井郡の丹波氏(高良山)、竹野郡の星野氏(妙見城)、生葉郡の問註所氏(長岩城)がありました。
豊前国も周防・長門の豪族大内氏の支配力が強く、強大な勢力は生まれていません。麻生総理の先祖である麻生氏(花尾城)、北九州市の門司氏(門司城)・香月氏(畑城)・貫氏(貫城)・長野氏(長野城)、下野国宇都宮氏の分流である城井氏(城井城 豊前宇都宮氏ともいう)がありました。
戦国期以前より勢力を振るった在地領主の一族をみてみましょう。
以下は福岡県発祥の名字です。この苗字であれば比較的ルーツを探しやすいと思われます。
北九州地方に広がった藤原姓山鹿氏流
麻生・小倉・(香月)
宗像大社大宮司流
宗像・深田・嶺・土穴・兵藤・武藤・稲本・日並・山田・矢津・長野・許斐・黒川
筑前国の大族である大蔵氏流
原田・席田・鞍手・加麻・千手・秋月・高橋・岩問・別府・三原・江上・安永・米生・板井・新宮・新井・桑田・大屋野・北郷・白井・ 早良・田尻・桑原・砥上・湯江・木原・城戸・田中・山口・川瀬・沢野・枝吉・小金丸
筑前国守護の武藤氏流
武藤・少弐・久保・肥後・平井・山井・城・賀茂・筑紫
豊後大友氏流
立花・堤・三池
肥前高木氏流
草野・飯田・三明・赤司
筑後国一の宮高良大社の社家
神代・鏡山・稲員・丹波
帰化系調(つき)党の一族
川崎・星野・黒木・樋口・宮部・伊駒・辺春・恵口・木屋
清原氏流五条氏族
轟・石島
大江氏流
荒木
宇都宮氏流
蒲池・犬塚・大木
平氏
諸富
豊前国の大族である宇都宮氏流
城井・西郷・北条・高野・伝法寺・大野・山田・仲八屋・如法寺・横川・友枝・赤熊・吉富・広津・野仲・中間・深水・加来・佐田・ 江良・麻生
福岡県の苗字ベスト20位は以下の通りです。
1田中 2中村 3井上 4古賀 5山本 6吉田 7佐藤 8松尾 9山口 10松本
11山下 12渡辺 13山田 14中島 15伊藤 16森 17原田 18池田 19林 20宮崎
西日本に多い苗字がランクインしていますが、第4位には古賀が入っているのが福岡県の特徴です。
古賀氏は福岡県南部から佐賀県にかけて広がる苗字です。
■江戸時代の福岡県
江戸時代の福岡県は筑前国・豊前国・筑後国に分かれていました。
廃藩置県時に福岡県には以下の藩と幕府領がありました。
藩名 | 城下町 | 主な藩主の変遷 |
福岡藩(黒田藩) | 福岡市 | 黒田氏 |
秋月藩(福岡藩支藩) | 朝倉市 | 黒田氏 |
小倉藩(のち豊津藩) | 北九州市 | 細川氏→小笠原氏 |
久留米藩 | 久留米市 | 田中氏→有馬氏 |
柳川藩 | 柳川市 | 田中氏→立花氏 |
三池藩 | 大牟田市 | 立花氏 |
代官・奉行 | 陣屋地 | 管轄地 |
幕府領 四日市代官所 |
宇佐市 | 西国筋郡代の出張所 宇佐郡65村 |
小倉藩主小笠原忠真は徳川家康の外曾孫、九州の玄関口に小笠原氏を配置したのは西国譜代大名の筆頭として西国、九州の外様大名の監視する目的がありました。
「江戸時代は武士」との伝承があれば、藩士名簿である分限帳を確認することをお勧めします。 城下町があった市・町の自治体史をみてください。
福岡藩関係は福岡県立図書館、久留米藩関係は久留米市図書館、柳川藩関係は柳川市古文書館に良質な資料が集っています。
■福岡県の家紋
福岡県の使用家紋をみてみましょう。
『都道府県別姓氏家紋大事典 西日本編』によると、福岡県の家紋ベスト10は次の通りです。
1位 片喰 2位 鷹の羽 3位 桐 4位 菱・花菱 5位 木瓜 6位 橘 7位 巴 8位 梅鉢 9位 蔦 10位 藤
日本の十大家紋と比べると、茗荷紋、沢瀉紋、柏紋がランク外となり、かわりに菱紋、巴紋、梅鉢紋がランク入りしています。
梅鉢紋は菅原道真を祀る太宰府天満宮の神紋、天満宮信仰の影響もあると思われます。
巴紋は宇都宮氏系の豪族が多いことと関係しているかもしれません。
戦国大名・豪族の家紋をみてみましょう。
筑前国では、少弐氏(藤原氏秀郷流)・筑紫氏(藤原氏秀郷流少弐氏族)が寄懸かり目結紋、 宗像氏(出雲氏系古代豪族)が一柏紋、秋月氏(大蔵氏族)が三つ撫子紋、 原田氏(大蔵氏族)が三つ引両紋、立花氏(大友氏族)が杏葉紋・祇園守紋。
筑後国では、蒲池氏(藤原北家宇都宮氏流)が三つ巴紋、高橋氏(大蔵氏族)が抱き柊紋、 三池氏が杏葉紋、黒木氏(調姓)が亀甲四つ目結紋、 星野氏(調姓黒木氏族)が亀甲に三枚笹紋、 草野氏(藤原北家高木氏族)が六つ日足紋、五条氏(清原氏族)が五七の桐に菊紋、 田尻氏(大蔵氏族)が撫子紋、問註所氏(三善氏族町野氏族)が丸の内に違い鷹の羽紋、 上妻氏(藤原北家高木氏族)が六つ日足紋、河崎氏(調姓黒木氏族)が亀甲四つ目結紋、 安武氏(菅原氏流高辻家分流)が剣梅鉢紋、堤氏(豊後大友氏族)が三つ銀杏紋。
豊前国では、城井氏(藤原北家宇都宮氏流)が三つ巴紋、 麻生氏(藤原北家宇都宮氏流)が長尾三つ巴紋、長野氏(桓武平氏貞盛流)が三つ盛扇紋、 門司氏(中原氏族)が杏葉紋、香月氏が五つ星紋。
■福岡県の寺院
福岡県の寺院をみてみましょう。
『全国寺院名鑑』(全日本仏教会寺院名鑑刊行会)によると、宗派別の割合は以下の通りです。
筑前 (福岡) |
筑後 (久留米) |
豊前 (北九州) |
|
天台宗 | 4% | 5% | 2% |
真言宗 | 9% | 6% | 16% |
曹洞宗 | 10% | 4% | 8% |
臨済宗 | 10% | 6% | 1% |
浄土宗 | 16% | 13% | 16% |
浄土真宗 | 44% | 61% | 50% |
日蓮宗 | 7% | 5% | 5% |
東日本で多い曹洞宗や真言宗寺院が少ないのが特徴的です。
福岡県に浄土宗が多い理由に、現在の福岡県北九州市に生まれた弁長は法然上人の直弟子となり、その後筑前に戻り、筑後国・肥後国に浄土宗の教えを広めたことにあるといいます。
その弁長が建立した久留米市の善導寺は九州浄土宗の大本山となっています。
福岡県は納骨堂形式の墓所が多く、古い墓石があまり残されていません。これは調査において不利な点です。
■福岡県の神社
筑前国一之宮は応神天皇を主祭神とする筥崎宮と、航海安全の守護神・住吉神社です。
筑後国一之宮の高良大社は、主祭神を高良玉垂命(こうらたまたれのみこと)とし、古代山城跡の高良山神籠石があり国史跡となっています。
豊前国一之宮は大分県宇佐市に鎮座する宇佐神宮です。
■福岡県の紳士録・人名録
国立国会図書館のデジタルコレクションにある紳士録・人名録を一部紹介します。
『日本全国商工人名録[明治25年版]』日本全国商工人名録 明治25年(1892) 職種別と商号
『大日本篤農家名鑑 [第1冊]明治43年5月』大日本篤農家名鑑編纂所 明治43年(1910) 村名
『九州紳士録. 第1輯』集報社編 大正3年(1914) 職業と所在地
『福岡市商工人名録〔大正7年度〕』博多商業会議所 大正8-11年(1922) 職種別と商号・屋号
『日本紳士録』交詢社編 大正10年(1921) 職業と所在地と税額
『大日本商工人名録.四国・九州版 昭和14年』大日本実業通信社編 昭和14年(1939) 職業と所在地
※姓氏の出自や由緒には諸説あります。このサイトではすべてを網羅できておりません。 参考の一つにしてください。
また出自や由緒、来歴についての質問は受けかねます。ご了承ください。